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大学生登山リーダー春山研修会(山スキー班) 2013/05/22-28

 2013-05-29
筆:八木(B2)
メンバー:八木、相馬、木内、澤田、杉沢、杉坂講師、佐伯講師

4月の新歓鍋パーティーで文登研に行く流れになり、色々手配してみた結果、授業をさぼって春山研修会に行くことが実現してしまった。結果的に、非常に成果のある素晴らしい経験になりました。

入山中の行程:
1日目【登山研修所~室堂…(滑降)…雷鳥沢野営場付近…真砂のコル…(滑降)…内蔵助平(テント泊)】
2日目【内蔵助平…ハシゴ段乗越付近…(滑降)…真砂沢出合付近(デポ)…(剣沢滑降)…近藤岩…北俣…平の池…池平山直下…(滑降)…近藤岩…真砂沢出合付近(テント泊)】
3日目【真砂沢出合付近…長次郎谷出合…熊ノ岩…長次郎のコル…剣岳…平蔵のコル?…(滑降)…平蔵谷出合…剣沢…夏山前進基地(テント泊)】
4日目【夏山前進基地…剣御前付近でスキー訓練…剣御前小屋…(滑降)…雷鳥沢…(搬送訓練)…室堂~登山研修所】

◆5月21日
申し込みが遅かったせいで事前課題、装備準備等々全てが後手に回ってしまい、慌ただしい出発となる。富山行きの高速バスに乗り込んで立山に向かった。

◆5月22日
早朝の立山に降り立ち、緊張した面立ちで富山電鉄の電車に乗り込む。そういえばこの電車は去年の夏合宿の帰りに使ったような。周りを見ると文登研で来たであろう人達が沢山いた。1時間ほどで登山研修所に到着し、割り当てられた名簿を見ると、何やら見覚えのある名前が…一橋大ワンゲルの相馬さんだった。

相馬さんは去年行われた関東ワンゲル交流会を主催した方で、まさかこんなところで再度会うとは思っていなかった。スキー班はやはりメジャーではないらしく、他の班の6人に対して5人しかいなかった。今回一緒に過ごすことになったメンバーは一橋大ワンゲルの相馬さん、木内さん、京都大山岳部の澤田さん、富山大ワンゲルの杉沢君。話を聞くとスキー班なのに皆クライミング経験が豊富で早速圧倒されてしまった。

この日はルート選定、食糧計画、装備点検など。意外にも計画は柔軟らしく、佐伯先生の提案で山スキー班は全装背負っての長距離縦走を行うことになった。もともと剣周辺はスキー向きではないのだが、広く使えばよい斜面がたくさんあるそう。まさか池平山方面にまで足を伸ばせるとは思っていなかったので大いに喜ぶと同時に体力面で不安を覚える。

食糧計画をメンバー間で相談するが、食糧しっかり派と徹底軽量化派で意見が2分する。スキーに於いては確かに軽量化したほうが楽しいのだが、夕食お茶漬けと言われた時には猛反対した。京大などは夕食にアルファ米+カレールーだけのカレーというときもあるらしい…結局前半はしっかり、剣アタック日の食事はアルファ米や春雨で軽量化を図った。

装備点検はとりあえず大きな問題はなかったものの、ビーコンに関しては「使えない」と一蹴されてしまった。買い換えようにもお金がなく、部としては大きな課題に。テントを借りに行ったところ、新品のゴアのテントをもらえた。流石に日本唯一の研修所なだけある。

自由時間こそ少ないものの、所内は快適でリラックスして過ごすことが出来た。

◆5月23日
6時ごろ起きて立山駅周辺で朝の清掃をする。清掃といってもごみを見つけるのが難しいほどだった。
午前中はナビゲーション技術の授業。不意に眠気に襲われて小突かれるなどしていたのだが、内容的には一番感銘を受けた授業だった。決まったルートのない雪山だけに気を一層引き締める。

午後はホワイトアウトナビゲーションの作成とロープワーク実習。ホワイトアウトナビゲーションとは吹雪などで視界がない場合にコンパスとごく近くの地形のみから現在地を把握、進むためのものだ。チェックポイントをこまめに配置し、各地点間でのコンパスを切る方向、高度、距離を整理していく。ロープワークではスキー班ということでフィックスロープの設置・通過法、懸垂下降の練習を行った。ロープワークは皆慣れたもので、普段ロープワークをやらない自分は手順を覚えるだけでも精一杯だった。懸垂下降の登り返しは初めて聞くテクニックで、実用度も高く感じられた。

夕食後はパッキング。他の班が所狭しと大量の装備を敷き詰める中、我々の装備は異常に少なかった。ザイルも1本、個人装備もカラビナ4枚、テープ3本でGW立山の重さはなんだったのかというくらい軽くなってしまった。重さを計ると水なし18kg程度。澤田さんのザックなどはどうやったらあそこまで小さくなるのか、というほど小さくまとまっていた。GWでかかとの皮がはがれたのでどうにかならないか相談したところインナーブーツを熱湯に入れるという荒業で再熱整形を行っていただいた。装備忘れの不安に襲われながら就寝。

◆5月24日(入山1日目)
いよいよ入山である。あわただしく外に出て装備を持って出発。講師陣はスキー移動が多いらしく板だけは別に送ってもらう。乗り物を乗り継いで室堂へ。高度順応で1時間ほど待機してからいざスキーを履いて出発。

入山中は区間ごとにリーダーを交代することになった。初日のリーダーは自分。とりあえず様子見で講師先導の元雷鳥沢へ。危険な地形に関するレクチャーを受けつつ横滑りの練習。1人ずつ急斜面を滑走したが自分は動きがぎこちなく最後転んでしまったように思う。澤田さん、杉沢君はうまい印象。相馬さん、木内さんは難儀していた。スキーと身体の連携がうまく取れないので余計な体力を使ってしまう。


>雷鳥沢で入山写真

まずはGW途中まで登った真砂への登り。まともなトップは事実上初めてなので舞い上がってペースが掴めない。急斜面の斜登高では効率よく登れているかまるで判断がつかない。地形をよく見て、急斜面を避け一定角度で登ることを教わる。ところが真砂の手前に着くころには早くもバテバテでトップ脱落。不甲斐無い。


>登りは決して嫌いではないが。。。

やっとこさ真砂岳南のコルに乗って内蔵助平への滑降開始。トップなので当然先頭を切って滑り降りる…楽しい!
天気は快晴、雪質も申し分なく、ハイテンションで滑降。後続を待つが、相馬さん、木内さんがなかなか降りてこない。後で板を確認したらかなり細身の板でバランスがとりにくそうである。講師陣が高そうな超ファットスキーを履いているのと比較すると乗りやすさに差があることは間違いなさそうだった。


>疲れも吹き飛ぶ大斜面

美味しい斜面を頂いたあとは斜度40°の1枚バーン。一度コケて板を流したら一巻の終わりなので慎重に行く。とはいえ雪質が良いのでそれなりに滑ることが出来て気分が良い。滑っては後続を待ち、を繰り返す。雪崩に襲われない場所を選んで休憩を取る。

後半になると相馬さん、木内さんも慣れてきてパーティーの滑走ペースもよくなった。時間はかかったものの無事内蔵助平に到着し、適当な所でテントを張った。天気もいいのでテント2つの間にタープを張ってアウターブーツ置き場と机を掘った。気温も高いので下手すれば夏山より快適といえるくらい。自分たちの滑ってきた道のりも一望できて、満足度の高い1日だった。

夕食はキムチ鍋。米炊きが成功するか不安だったものの無事成功。よかったよかった。


>快適ゴアテン


>あんなところを滑ったのか…

◆5月25日(入山2日目)
我々の技術を鑑みて出発は雪が柔らかくなるまで遅らせて出発。ハシゴ段乗越を経て北側に下る。登りはクトーが効いて登りやすいと思っていたが、斜面が急になるにつれて雪も解け始めて辛くなる。やっとこさっとこ登り終わり、これまた立派な斜面を滑走開始。

北側斜面なので流石に雪が固い。滑り方が悪いのか時々板が引っかかってあらぬ方向に流れそうになる。調子に乗っていたら思いっきり板をひっかけて開脚、そのまま転がるように転倒してしまった。相馬さん、木内さんもこけていて情けない3コケ写真が撮れてしまった。


>大転倒

ビビりながら剣沢との出合に到着、必要のない荷物をデポして軽身で池平山に向かう。近藤岩から先は比較的狭い沢なのだが、各所に雪崩の跡がはっきりとみられる。講師の指示に従い、リーダーが何m間隔でついて来ればよいか指示を出して、距離を置きながら危険個所を通過するスタイルをとった。

前を見るよう注意されながら池平山直下の台地に上がると、見えるは雄大な大斜面。これからここを滑るかと思うとテンションが上がって仕方ない。しかしながら気温が高いせいか雪は不安定で、登り始めてしばらくすると真上で雪崩が発生、雪の塊がすぐそばをかすめていった。いくら小さい雪崩とはいえ、ぶつかったらただでは済まなかっただろう。おいしい斜面にはリスクが付き物だということを実感する。


>スケール感たっぷりの大斜面

その後はひたすら登るのみだが、さすがに広い斜面なので進めど進めど上にはたどり着かない。そうこうしているうちに計画で決めていたタイムリミットに来てしまったので、山頂はあきらめて下ることに。昨日と違い皆スイスイ降りていく。技量の心配もあって下りの時間を長めに設定したのだが、あっさりと近藤岩まで下れてしまった。滑降は楽しいのだが、いかんせん筋力不足で滑っては止まりを繰り返す感じであった。


>登ってきた斜面を満喫

デポ地点から少し進んで真砂沢ロッジの真上付近でテントを張った。この日も風こそ強いが相変わらず完璧な天気で、この日も外で夕食をとった。澤田さんはすべてテント内で行いたがるようで、外の夕食はあり得ないといった様子だった。佐伯先生が途中採ってきた行者にんにくとミートボールを合わせて炒めたものはとても美味しく、愉快でありながら学ぶことの多いテント生活だった。明日はいよいよ剣へのアタックだ。



◆5月26日(入山3日目)
この日は長丁場になるのでやや早めに行動を開始。まずは剣沢をサクサク登っていくが、GWのころより雪がデコボコに溶けてきており、足場が不安定で難儀する。体力不足がモロに出て、長次郎谷出合に達した時点でややバテ気味であった。あの時は見るだけたった谷に入るとあって緊張する。

長次郎谷は斜度のかなりある急斜面。他の皆はそこそこのペースで上がっていくのに、自分はというと足を前に出すのが精一杯。杉坂先生に活を入れられながらなんとか登っていく。途中で相馬さんに荷物の一部を持ってもらってとにかく前に進んだ。下を見るとどうやら別のパーティーも来ているようだ。

熊の岩を過ぎるといよいよ急斜面で、少し油断するとすぐずり落ちてしまう。遅々として進まない我々を置いて先生方は先に登っていたのだが、突然上のほうでやや大きめの雪崩が発生、上を見やると先生方は見えないがどうやらしっかり雪崩のラインからは外れているようだった。緊張しながら歩みを進めるが、途中で上からツボ足で上がるようにとの指示。シートラで1歩1歩息を切らして登る。ところがスキーを脱ぐときに大失態。クトーを置いてきてしまった。それに気づいたのは既に剣沢に降りた時で、体力気力の切れた状態だとヘマを犯しやすいことを嫌が応に体感する苦い経験となった。

やっとの思いで長次郎のコルに到着。この先がやや急な雪壁となっていて、佐伯先生が偵察で登ったのち我々が登ることになる。ピッケル・アイゼン装着の元ピッケルを刺しながら登るが、雪が柔らかい上にそこまで雪も深くないのでなかなか思うように登れない。そもそも雪と岩のミックスを登ること自体初めてなので当然なのだが。

杉坂先生に叱られながらなんとか登っていくが、ここで第2の事件発生。事前調整したつもりだったアイゼンの右足が外れたのだ。自分の安定がろくに取れない状態。今思えばずり落ちるだけならそこまででもなかったのかもしれないが、その時はもう頭の中は恐怖で一杯だった。幸運なことにすぐに上に上がった相馬さんがザイルを降ろしてくれたので、マッシャーで確保して一安心。必死で登り切った時には正直膝ガクガクの状態だった。クライミングの技術が甘いのは部で機会がない以上どうしようもないのだが、アイゼンが外れたのは痛恨のミスだった。己の未熟さと安心感で少し泣きそうになる。あの状況で素早くザイルを出した相馬さんの判断と技術に感謝した。


>この直後にアイゼンが外れた

その後はなぜか僕がトップをもらい剣の山頂を目指す。正直体力も気力も限界近かったのだが、息も絶え絶えの状態で歩く。途中本部の方々に檄を飛ばされながら登頂!我々は5月の剣の頂に立ったのだ。皆で雄叫びを上げる。


>念願の剣に登頂

つかの間の感動を味わったものの、まだ山行は終わっていない。平蔵谷滑降である。佐伯先生は山頂から滑り始めるが、我々にそのような技量は当然ないので、比較的安全なところまでシートラで降りる。しばらくは雪と岩の混ざった斜面を慎重に降りていくのだが、雪上歩行に慣れていない上に体力を奪われているのでなかなかバランスが取れない。歩き方をその場で調整していく。どうやら去年の夏合宿の登りで通ったはずの場所なのだが、スキーを付けて兼用靴で歩くとなるとまるで勝手が違う。足を置くポジションを後続に教えながら降りる。

そのあとはさらに急になっていたのでバックステップ。1歩1歩しっかり蹴りこんではピッケルを刺して上半身を支持する。これまた初めての経験で、ピッケルを振るのもしんどい。遅れをとりながらもやっとの思いで下に降りる。一方佐伯先生は我々が降りているそばをスキーで駆け抜ける。うらやましい。


>それゆけバックステップ

滑れる斜面に降りたころには他班もとっくの当にグリセードで消えてしまっており、ふらふらの状態で滑降開始。平蔵谷の斜面はすっかりデコボコに荒れており、自分の実力と筋力ではまるで太刀打ちできない。当然数えきれない回数転倒する。後半は立って姿勢を維持するだけでもやっとで転がり落ちる、と言っても過言ではない散々な滑降だった。

あとは前進基地まで登り返すだけだが、GWの再来でやはりしんどい。前進基地に着いたときは心底ほっとした。この日は最初から最後まで迷惑をかけ続けた日だった。

疲れで体が思うように動かないものの、あとは夕食作り、水づくり等をこなすのみ。ついさっき剣の山頂にいたとはにわかに信じがたかったが、夢心地でこの日の夕方を過ごし、床に就いた。ちなみにこの日も夕食は外で、講師にもあきれられる始末だった。




◆5月27日(入山4日目、最終日)
佐伯先生曰く、5時半までに出発する準備が整っていればスキーレッスンを行ってくれるという。当然張り切って朝食、撤収作業を行ってしっかり間に合わせた。僕がクトーをなくしてしまったので申し訳なく思いつつ、やや緩めの斜面を選んで登ってもらう。


>空身のほうがやはり滑りやすい

途中荷物をデポして佐伯先生のスキー講習。荷物がないせいか昨日と打って変わってそれなりに滑れてしまった。安定しないなぁ…

雷鳥沢はGWのころより雪が減っていたので途中までシートラで降りてからの滑降。一見すると広い沢地形を選びがちだったのだが、尾根のほうが滑るラインを選択しやすいことなどを教わる。


>体力不足…

ラストはツェルトを使った搬送訓練。時間も押しているので適当な荷物をポイポイ詰めて行ったが、スキーで歩くこともままならない上に引っ張らなくてはならないのでヘタレっぷりを全力で発揮。長次郎谷の詰めもつらかったが、この搬送訓練も身体・精神ともにくるものがあった。リーダーの道は遠く険しい。時間ぎりぎりで室堂に到着、充実感のうちに山行を終えた。

◆5月28日
最終日は記録整理と総評、各班の発表。講師の先生からは「口先を動かす前に行動で示せ」というお言葉をいただいて現状のふがいなさをかみしめた。とはいえ幸いにも自分を鍛える期間はほかの人より残されているので、基礎体力をはじめとしてリーダーにふさわしい判断力・統率力を身に着けなければならないなと気持ちを引き締めた。

解散後は班で京大山岳部と数十年来の付き合いという富山の居酒屋に連れて行ってもらった。店内はそこらじゅうに魚の干物がつるしてあって雰囲気抜群。部の運営はどの大学も苦労しているようで、登山という活動の難しさを垣間見た。打ち上げを終えて皆と別れ、高速バスで明日の授業を受けに東京に戻って研修を終えた。

◆まとめ
ノリで言った発言がきっかけでとんとん拍子にことが進んで、結果として人生に何回も経験することのできない貴重な体験をすることができた。大学の部という性質上、時間の経過とともに知識や技術が劣化しがちなので、外部の刺激を受けたり、プロの指導を受けることは個人にも部にも良い影響を与えると思う。後輩たちにもぜひぜひ参加してほしい。
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