FC2ブログ

140918-20 西穂~奥穂単独行

 2014-09-21
筆:八木(B3) 単独

9/18【新宿7:20~上高地帝国ホテル前12:00…登山口12:30…14:38西穂山荘】(テント泊)
9/19【西穂山荘4:15…西穂独標5:07…西穂高岳6:13…天狗岳8:03…天狗のコル8:28…ジャンダルム10:18…奥穂高岳10:50…穂高岳山荘12:58】(テント泊)
9/20【穂高岳山荘4:43…奥穂高岳5:13…前穂高岳6:57…岳沢小屋8:45…河童橋10:05】

8月の夏合宿の消化不良っぷりに悶々としていた折、過去の山行記録をあさっていた。すると出てきたのが「ジャンダルム」。読むと実に楽しそうである。これは行くしかない(?)。という流れで即計画書を書いて穂高連峰への初チャレンジとなった。

◆1日目(9/18) 曇時々晴
前日、バイト後に大学によって装備を回収。すべての準備を寝る前に行ったところ2時になってしまった。
6時前の電車に乗ろうと5時に目覚ましをセットして寝るも5:45に弟の目覚ましで跳ね起きる。即出発。新宿で焼き牛丼を食べていたらバスに乗り遅れかけた。サクッと上高地へ。途中車窓から巨大な穂高の山々がちらと見えて士気が高まる。

帝国ホテル前で降りた乗客の中で登山者は僕1人だった。どうやら皆上高地でゆっくり過ごそうという人たちらしい。ふーんと思いながら装備を準備するも、ヘルメットの後ろのゴムがはじけ飛び、カメラケースをぶら下げたカラビナが破断する。いやな感じである。

同期の太田口から、岩稜帯なら堅い冬靴でいいんじゃあないかというアドバイスを受け、久方振りの冬靴である。登山口から颯爽と歩き始めるもアッなんか痛い。痛い。序盤は痛みに耐えながら登る。じきに痛みが和らいできたので一安心する。昼過ぎという時間もあってか人気は全くない。悪くはないなぁと歩いていると

バラバラバラバラ ゴーン

ヘリだ。それも1回ではない。丁度荷揚げのルートになっているらしく5分に1回は真上を通過していく。五月蠅い。せめて真上を通過するのはやめてくれと願うが、かなわぬ夢である。おそらくこの辺一帯の荷揚げを一気に行っているのであろう。周りが静かなだけに勿体ない。

中間地点に「宝水」という水場があると聞いていたので水は1Lしか汲んでいなかった。多少整備された水場を期待していたのだが、行ってみればなんか水が土壌を這うようにチョロっと流れているだけだった。そもそも汲みようがない。西穂山荘の水は有料だがどうしようもない。甘かった…サクサク登って行ったら2ピッチで西穂山荘に着いた。これが年末だとラッセルで1日じゃたどり着けない難ルートと化すらしいが本当なんだろうか。

先週末の槍の大渋滞(3時間待ち?とかなんとか)を聞き及んで警戒していたが、西穂山荘は拍子抜けするほど人が少ない。テントもわずか5張ほどしかなかった。水を3L弱購入。今回飯は手抜きなのだが1日目だけは豪勢に鍋。プチッと鍋という便利な商品を知ったお陰で昔よりレパートリーが増えた。とんこつしょうゆ鍋なのだが、キャベツを入れすぎて1Lのコッヘルに収まらない。蓋で無理やり押し込んで事なきを得る。思えば朝食のラーメンに転用すればよかった。

外は次第にガスってきてしまったので食後は夏合宿で飲みそびれたウイスキーをちびちび飲む。ウマい。いい感じに眠くなってきたので6時過ぎにはシュラフにくるまった。

◆2日目(9/19) 晴れ
なんだか寒い。寒すぎる。1時間おきに目を覚まし、2時頃には周りの物音も気になってとても寝れなくなってしまった。2時半にシュラフから這い出て火をつける。向いのテントの人は既にテントをたたんでいるのだが一体どこへ行くのだろう。外に出たらテントには氷が張り、上を見れば満天の星空である。今年はこんな時間に起きること自体が珍しかったのでしばらく写真を撮った。しかし冬用ダウンを着込んでいるのに寒い。4時過ぎにヘツ電の明かりを頼りに歩き出す。

独標までの登りは人気ルートなだけあって過剰に親切だ。1mおきにペンキマークがあり、俯いてマークだけを追っていても良いくらいだ。冷たい風もダウンを着込んでいれば心地よい。ゴロゴロして歩きにくいところはあれどあっという間に独標を踏む。明るくなってきた。


>まだ薄暗い独標。ここまでは余裕

独標を越えると道がだんだん険しくなる。怖いと思ったら体を落として手足を手掛かりに下りればよい。手掛かりは豊富なので1歩1歩確かめながらよじ登っていく。まだ使い込んでいない冬靴のグリップは頼もしく、1、2か所怖い場所を越えて西穂山頂へ到着。10分ほど後ろからハイペースで迫ってくるおじさん以外の人は見えない。無用な気遣いも不要だ。太陽もすでに高く昇り、先月苦労した笠ヶ岳が歩いたコースが分かるほどくっきり見える。

西穂を越えてコースは険しさを増す。両神山で鎖は鍛えたので方法論としては全く同じなのだが、やはり高度も高度「感」も違う。高いところにいる気がするだけで恐怖が増すのはどういう原理なんだろうか。素手で鎖をつかむと氷のようなのだが、かといって軍手だとつるつる滑って仕方がない。そして時々長さが足りないのは勘弁してほしい。ヒーと思いながら歩みを進めるも、まだ大したことはないな、なんて考えている自分がいた。


>写真で見ると登れるようには見えないが…

コース全体の感想として、とにかくアップダウンが激しい。ちょっと下って登るような女々しい(?)アップダウンは少なく、降りるならガッツリ数十m降ろされる。流石に3000m近いので、長い登りでは息が上がりっぱなしになる。小ピークばっかりで辟易としていたら、間ノ岳をスルーしてしまった。どのピークのことだったのだろうか。切れ落ちた岩場をいくつか過ぎればかの有名な逆層スラブの登場である。確かに逆層だ。


>逆層スラブ。雨だったら土下座する見た目である

とはいえ実際に見ると斜度はそれほどでもなく、頑張れば鎖なしでも登れそうだ。ただ滑り出したらそのまま落っこちる上、1段あたりの段差が妙に大きい。鎖は何故か落ちたら崖一直線の左側に位置していて、正直鎖に取り付くまでが恐かった。鎖は2つに分かれており、1段大きく乗り越えなければならない。小柄な人には中々スリリングな場所ではないだろうか。西穂からのルートは順調に難易度を上げて、「そこ登るの?」的な箇所がじわりじわりと増えてくる。ヒーコラと天狗岳山頂。息が上がりすぎて咳が出る。珍しく広い山頂なので進む方向を1回間違えて引き返す。1回尾根を越えて岐阜県側から一気に下りる。

散々降りて天狗のコル。唯一のエスケープだ。一応バリエーション扱いではあるのだが、それほどヤバいルートというわけでもないらしい。ここから怨めしい400mUP。要所要所に付いた鎖をつかんでよじ登るが、所々稜線の出っ張った個所を登ると恐怖感はMAXに。自分の手の高さに掴まれる岩がないだけでこうも心細いとは。風もなんだか強い。

ここまで対向者なく安全に進めてきたところに、ようやく本日最初の対向者を発見。このルートではお互いに人が珍しいためか妙な連帯感が芽生えて、すれ違う時に必ず会話を交わす。聞けばジャンダルムも最高だった。期待高まる。問題ポイントの馬の背らしき場所も確認できる。

グイグイ高度を上げて畳岩尾根の頭。ここで数人休憩している方々とすれ違う。ただここで立ち止まるわけにはいかないと水だけ飲んでズンズン進む、が、あれー遠い。さっきまで見えていたジャンダルムは姿を消し、眼前に見えるはガレた斜面。そしてあれだけ親切だったペンキがここにきて途切れる。時々見つかってほっとするも即見失うので、もう登れそうな岩を選んで進むしかない。トラバースよりはまだ稜線のど真ん中の岩と岩の間を乗り越えていく方が気持ち的に楽なので全身でよじ登る。途中足が岩に挟まって動けなくなり、パニックを起こす。高度3000mだし、このまま動けなかったら嵐になってetc...などという考えが頭を巡った。

という感じで息も絶え絶えにジャンダルム手前のピークでギブアップ。休憩を取る。今まであまり見やることのなかった霞沢岳が渋く鎮座している。上高地もこうしてみればミニチュアの模型のようだ。気持ち良い。1人なのでついつい長くくつろいでしまう。名残惜しいが、ジャンダルムに行かないのもアレなので重い腰を上げて進む。

事前情報で知らなかったのだが、ジャンダルムの頂そのものはルートから外れたところにあった(よくよく過去記録を見返したら書いてあった)。つるつるの岩に鎖と心もとない足場用のボルト、さらに絶壁トラバース(捕まれば大したことはないのだが、ねぇ…)。舞い上がってしまい気づいたらジャンダルムを通過している。あれっ。さっき半泣きで通過したところまで戻って岩をよじ登る。ペンキが塗ってあったがなぜか下の方に消えて行ったので結局登れるところ(左壁)を登る感じであった。

山頂。何のことはない岩と言ってはそれまでであるが、西穂から歩いてきた達成感が岩の隙間を埋めてくれる。思い付きで来てよかった…。夏合宿とはうってかわって快晴。文句のつけようもない。山頂にはうわさに聞く妖精?の看板があった。10分ほど遅れてずっと後ろを歩いていた単独行の方も登ってきた。この天気なら何時間でも居られそうだ。とはいえ奥穂という目玉があるので再度気を引き締めて慎重に山頂を脱出する。すれ違う人もちらほら。


>ジャンダルム


>行ってみて初めて分かるタイプの歓び

ピークを踏むたびにいちいち鎖場を滑り落ちるように降りるのがこの稜線のいやらしいところ。アップダウンを繰り返して、ついにかの悪名高い馬の背に着いた。

馬の背は確かに写真で見たとおりというか、まんま馬の背である。左右が本当に切れ落ちているので、1か所だけはどうしても跨がざるを得ない。1人だからよいものの、複数人で来た日には心臓に悪そうだ。馬の背を超えて息を切らしながら奥穂の山頂に着いた。踏破。ピークにたどり着いた人たちと話が盛り上がる。記念にコーヒーを入れて飲んだ。ジャンダルムにはちらほら人が乗っていて、意外にも話し声が聞こえてきた。

残りの下りは楽勝。穂高岳山荘に着く。相変わらず天気は最高で、眼下には涸沢のテント群、目前には前穂高岳の見事な尾根。夏のテン場の中ではおそらくトップレベルのロケーションだろう。靴を履き換え、テントの外で持ってきたウイスキーと夏合宿のつまみの残りで独りそっと酔いに身をゆだねる。3000mという標高ながら意外に夜は暖かく、昂揚感の内に1日を閉じた。


>景色を肴に酒を飲む

◆最終日(9/20) 晴れ
自分らしくもなくまたもや朝4時に目を覚ましてしまった。さっくりとアルファ米を食べて出発。まだ真っ暗で冷え込んでいるが気分は晴れやかで体調も良い。グングン奥穂を登って行って日の出前に山頂についてしまった。山頂でじっと太陽を待つとほんのり明るくなってきた。どうやらこれが日の出だったらしい。目指すは前穂である。

前穂高までの道は正直昨日の稜線と比べればちゃちいもんである。しかしながら足を滑らせたらそのまま転がり落ちていきそうで、油断はしない。分岐からの山頂への登りは全身を使って登る飽きのこないルート。誰もいない朝のピークを踏む。少し離れて写真を取ったらラスボスでも出てくるんじゃないかという雰囲気ある写真が撮れてしまった。


>ラスボス感

気になっている前穂北尾根をよくよく覗いてみると、人が登ってきているではないか!岩は脆そうだがそこまでピリピリした空気は感じられなかった。来年以降の宿題とすることを決めた。

上高地までの下りは自分との戦いになる。右手を見ると昨日歩いた岩がするすると遠ざかり、麓から見えるとんがり稜線へと変化していく。距離によって山が与える印象はまるで異なる。尾根は想像以上に急峻な登山者殺しで、密度の濃い4時間を経て初めての上高地にたどり着いた。普段着+αな観光客が皆写真を撮りあっていて、もはや場違いなのは自分のようであった。レストランに行けば食事が出てきて、バスで寝ていたら新宿であった。

◆まとめ
普通に登山しているワンゲル部員なら、今回のルートは楽しめることと思う。ヒトのスケールはあまりにも小さかった。
スポンサーサイト



タグ :
コメント












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:

http://tsubakura2999.blog65.fc2.com/tb.php/142-18f61269

≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫